頭から爪の先まで俺のもの

 


「・・・あっ・・・・ぅ・・」
ギシギシとベッドが軋む音が狭いオレの部屋に響く。
その音と共に激しい息遣い。

「・・はっ・・・はっ・・」

それが、どちらのかなんて分からない。
それは、オレの上で先程から激しく動いている鷹史も同じだろう。
「あ・・・あっ・・・んぅ」
オレは、というと先程から言葉らしい言葉を発していない。
いや、出来ない、の間違いか。

「はぁ・・・分かるか?俺の感触」
激しい動きを止めて、ニヤリと笑う顔は文句なしの男前。
額から流れる汗さえも、色気に変わる。
思わず、落ちそうになる汗を指ですくう。
どうしようか悩む前に、指は自分の舌へ―――。

「―――んあッ!」
ズンと再び、奥までの衝撃。
我慢していた声が漏れる。
「な、ん・・だよっ・・・あ、っ・・・い、きなり・・」
途切れ途切れで声を紡ぎだす。
思わず出してしまった声の恥ずかしさもあり、少し睨んで言う。
「こっちのセリフだバカ・・・煽るな・・ッッ」
少し上気した顔で、悔しそうに鷹史は言う。
「は、あ!?煽ってなんか・・・っ!」
文句を言おうにも、鷹史が奥まで突いてしまう為最後まで言えない。
「無自覚かよ、くっそ・・・」
「なにが・・って、ちょ・・激しすぎ・・っ」
こんな最中にベラベラ喋ることもないが、今は少し落ち着いてほしかった。
肩を押さえるも鷹史の身体はビクともしない。

「あ、ぁぁ・・・やっ、もう・・いっ・・・」
オレの身体を知り尽くしている鷹史がピンポイントでオレのイイ所を刺激する。
射精感が込み上げてきて、無意識のうちに自分のモノを扱く。
「あ、あ、い・・っく・・」
後ろも前も刺激されてオレは呆気なく射精する。
イッたばかりでぼんやりしていたオレの中で、数秒遅れて鷹史のが放たれる。
ドクドクと、中で感じる何とも言えない感触には未だに慣れない。
「んぅ・・」
フルリと身体を震わせて声が出る。
うっすら目を開けると、目の前にはイッたばかりの鷹史の表情。
頬は赤く染まり、目はトロンと少し潤んでいる。
口は半開きで、隙間から赤い舌が覗く。
この表情を見るのが好きだったりする。
オレで、満足したと語る表情が愛しくて堪らない。
脱力した鷹史がそのまま、オレの上に被さる。
「ぐぇ・・重い」
「・・・愛の重さ」
「言ってろ、バーカ」
口では悪態吐くものの、オレの手は鷹史の頭を撫でている。
「・・雅美って、この時は優しいよな」
小さな、どこか拗ねたような声で言う。
「そうか?大人の余裕ってやつだろ」
「はいはい」
クスクス笑いあいながら話す。
オレの上に被さったまま動かない鷹史が、更にギュッと俺を抱き締まる。
「何回、何十回抱いたって飽きねーな・・・」
「ふっ、言ってろ・・」
「あんたは・・・俺のだよな?」
どこか不安そんな声に、頭を撫でていた手を止める。
「お前が、オレのなの」
手加減して鷹史の髪を引っ張る。
痛くはないようで、でも驚いた顔した鷹史と出会う。
「――――はは、いいなそれ」
眉を下げて、困ったような、けれども嬉しそうに笑う。
その顔が、年相応に見えて無性に可愛く見えた。
愛しさを感じて、顔をオレの胸に埋めている鷹史のおでこにキスをしてやる。

そうだ。
お前のオレじゃなくて、オレのお前なんだよ。
お前が独占欲を感じるのと一緒で、オレだって人一倍感じてるんだ。
オレだって、お前を支配したい気持ちはある。
今の状態がいつまで続くかなんて分からない。
それでも、今ははっきり言える。
お前は、頭から爪の先まで俺のもの――。